PROJECT STORY PROJECT STORY

PROJECT STORY プロジェクトストーリー

一滴の水もいらない歯磨き
被災地を救う「無水ハミガキ」
開発秘話

OUTLINE

プロジェクト概要

「もしもの時、ハミガキで救えるいのちがある。」というコンセプトのもと、ヤマトエスロンがNPO法人プラス・アーツと共同開発した、水を使わないオーラルケアセット「無水ハミガキ」。社長の強い使命感から始まったこのプロジェクトは、防災という未知の領域への挑戦であり、製品仕様からデザインに至るまで、社内外のプロフェッショナルたちの熱いこだわりがぶつかり合う場となった。研究開発を牽引したTと、製品化の最終局面を支えメディア対応を担ったH。二人の奮闘と、困難を乗り越えたチームの情熱が、社会に貢献する製品を生み出すまでの軌跡を追う。

MEMBER

プロジェクトメンバー

  • T.Y

    販売部

    社長からの特命を受け、研究開発担当としてゼロからの製品開発を牽引。現在は営業として、その魅力を世に広める。

  • H.N

    研究開発部

    デザイナーとの難航した仕様調整や、自身初となるメディア対応など、製品化の最終段階を力強く支えた。

そのオーラルケアセットは、命を救うために生まれた

研究開発部に所属していたTが、社長の松永から直接のミッションを受けたのは、2021年のことだ。発端は、社長がボランティア活動で出会ったNPO法人プラス・アーツの永田氏との対話。「被災地では水が貴重で、ハミガキが非優先となり、高齢者の誤嚥性肺炎による災害関連死が多い」という現実を知った社長は、「水を使わずに口腔ケアができる製品」の開発を決意したのだ。
水が命綱となる被災地で、歯磨きのために貴重な水を使うことは気が引けてしまう。この深刻な課題に対し、ヤマトエスロンは長年の歯ブラシ製造技術と、社会貢献への強い使命感を結集させた。Tは、この前例のない「防災×オーラルケア」という責務を担い、後に「無水ハミガキ」となる製品の、ゼロからの設計図を描き始めた。それは、単なる新製品開発ではなく、「もしもの時、ハミガキで救えるいのちがある」という、重要なミッションの始まりであった。

ゼロからの挑戦。無数の声が、一つの形になるまで

Tはまず、防災の専門家であるプラス・アーツや、歯科医師に繰り返しヒアリングを実施し、被災地の切実なニーズを深く掘り下げた。避難所ではトイレ環境の不便さに加え、限られた水を歯磨きに使うことへの懸念や、そうした行為を周囲の目がある中で行う心理的なハードルもあった。これらのリアルな声から、「その場で完結できる」という製品コンセプトが確立された。
しかし、このコンセプトを具現化する過程で、Tは幾多の難題に直面する。歯ブラシは、携帯性を極限まで高めるため、機能性を損なわないギリギリの、通常サイズの半分以下に設計する必要があった。また、セット内容の資材選定では、小ロット対応、高品質、長期保存という厳しい条件をクリアできるメーカーを一から探す必要があった。さらに、社長、プラス・アーツ、デザイナー、そして歯科医師といった多様なプロフェッショナルが関わる中で、それぞれのこだわりが激しくぶつかり合った。「もっと良いものを」という熱意は、時に相反する意見となり、Tはそれらを製品の最適解へと導く、困難な調整役を担うこととなった。技術的な課題に加え、この「熱い思いの集合体」を一つにまとめることが、大きな挑戦だった。

託されたバトン。挑んだ製品化への最終調整

プロジェクトの最終局面、Tの長期休暇に伴い、研究開発部のHに製品化へのバトンが託された。引き継いだのは、製品の顔となるリーフレットの制作だ。特殊な紙質、複雑な蛇腹折り、そして角丸加工という、高いレベルの印刷・加工が必要とされた。Hは、要望に応えられる資材と業者を粘り強く探し続けたが、難航は極まる。そして迎えた年末最終出勤日。Hは、プラス・アーツの担当者と電話で最後の調整を行い、土壇場で全ての条件をクリアする道筋をつけた。ギリギリのタイミングで困難を乗り切ったこの時、製品化への確かな手応えを感じたという。
一方でTは、納品後に新たな役割を担うことになる。プレスリリースをきっかけに、共同通信社から取材依頼が舞い込んだのだ。初めてのメディア対応は緊張の連続だったが、製品に込めた熱い想いを語り、その記事は多くの媒体に掲載されることとなった。

挑戦の結実。ヤマトエスロンの誠実な使命

たくさんの想いを詰め込んだ「無水ハミガキ」は2023年3月11日、ついに世に送り出された。研究開発から販売へと異動したTは、自ら生み出した製品を世に広めるという、新たな使命を担うことになった。全国放送のテレビ取材にも対応し、「無水ハミガキ」は大きな注目を集めた。Tは、「災害時、オーラルケアで困っている方々に、この製品を届けられるという事実が、開発者としての大きな誇りと、社会的な責任を果たした充実感を覚えますね」と語る。
この製品は、その革新性と社会貢献性が高く評価され、「フェーズフリー認証」や「防災製品等推奨品認証」を取得。一人の社長の「出会い」から始まったこのプロジェクトは、TとH、そして多くの関係者の熱意によって、困難を乗り越え、今やヤマトエスロンの「生活に価値ある製品を提供し人々の健康と暮らしに貢献する」という企業使命を体現する、象徴的な製品となったのだった。

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