PROJECT STORY PROJECT STORY

PROJECT STORY プロジェクトストーリー

挑戦の糸を紡いで。
「デンタルフロス」
開発秘話

OUTLINE

プロジェクト概要

ヤマトエスロンが長年培ってきたプラスチック成形技術の枠を超え、開発した「デンタルフロス」。それは、一人の研究者の直感から始まった。
しかし、それは同時に挑戦の始まりでもあった。日本国内では前例のない加工技術、海外からの特殊な機械調達、そして次々と発生する予期せぬトラブル。研究開発、販売、生産技術(現 技術開発)、それぞれの立場のメンバーが、互いの専門性を持ち寄り、困難な課題を粘り強く乗り越えていく、情熱と信頼の物語である。

MEMBER

プロジェクトメンバー

  • I.S

    研究開発部

    プロジェクト発案者。特殊糸の発見、機械・原料の調査、生産技術の確立をトータルで担当。

  • T.H

    販売部

    販売担当。タイ工場での購買を経て、プロジェクト管理者として得意先との交渉、全体進捗管理、社内調整を担当。

  • H.N

    研究開発部

    製品立ち上げ業務、サンプルの評価対応を担当。入社直後からプロジェクトに参画した。

運命の「糸」との出会い

2015年。研究開発部のIは、得意先への新しい提案の種を探す日々を送っていた。既存の技術の延長線上ではない、誰もやっていない、しかし確実にニーズがある製品。その探求の果てに、Iは運命的な出会いを果たした。それは、特許調査の中で見つけた、「非常に繊細で、かき取り効果が高い」特殊なフロス用原糸だった。
当時の国内デンタルフロス市場は、まだ欧米に比べて認知度が低く、未開拓の領域が多く残されていた。また、日本の大手原糸メーカーは、口腔用途という特殊性からリスクを避け、糸の販売に難色を示していた。この特殊な糸を使えば、従来のフロスにはない高い清掃効果を実現できる。Iの直感は確信に変わり、すぐに得意先へ提案。その斬新なアイデアと製品サンプルは、得意先の開発担当者の心を掴み、「ぜひ、この糸で製品化を」という熱い要望を引き出した。
しかし、この受注は、ヤマトエスロンにとって「ゼロからの挑戦」を意味した。

国内にノウハウはない。ならば、世界を探すしかない

受注は決まったものの、課題は山積みだった。
まず、フロスを加工する技術が、社内にはなかった。国内の機械メーカーに問い合わせても、「実績がない」「ノウハウがない」という返答ばかり。
「他社ができていることは、必ずできる」。Iは、この信念を胸に、解決の糸口を世界に求めた。加工機械の調達では、国内メーカーからの情報をもとに「おそらく海外製だろう」と推測し、機械商社を当たった結果、ついに海外の機械メーカーにたどり着く。この時、商社の担当者がフロスのヘビーユーザーだったという偶然も、プロジェクトを大きく後押しした。専門知識を持つ担当者との出会いにより、機械の選定は一気に加速。こうして、ヤマトエスロンは、デンタルフロス製造のための特殊な機械を、海を越えて導入することになったのである。

トラブルは次々と。
粘り強さが「縁」や「運」を引き寄せる

機械の導入が進み、いよいよ量産化に向けた準備が本格化する中、プロジェクトは最大の難関に直面する。
タイ工場で購買を担当していたTは、帰任後に販売担当としてプロジェクトに参画。得意先との商談や進捗管理を一手に引き受けていた。しかし、試作品の評価段階で、原料の長期保管において不具合が発生したのだ。発売日が迫る中、得意先からは厳しい指摘が飛び交う。「なぜこうなったのか?」。Tはプレッシャーを受けながらも、研究開発のIと連携し、解決に奔走した。Iは、機械メーカーに問い合わせたり、原料の配合を見直すなど、持ち前の粘り強さで解決策を探り当てた。さらに、この時期に経験者採用で入社したばかりのHが、研究開発部の一員として加わった。Hは、入社直後ながら、製品の立ち上げ業務やサンプルの評価対応を担当した。
Iの技術力と粘り、Tの営業力と調整力、そしてHの地道な研究活動。三者三様の強みが、次々と発生する想定外のトラブルを一つひとつ解決へと導いていった。特に量産開始直前には、開発メンバーが交代でタイの生産現場に入り込み、作業者教育や品質チェックを徹底。チーム一丸となって難局を乗り越えたのである。

信頼の証。市場を牽引する商品へ

プロジェクト開始から約3年の歳月を経て、デンタルフロスはついに発売を迎えた。
納品を終えた時の心境について、Tは「予定通り納品できた安堵感と、周囲への感謝を感じました」と語る。そして、得意先からは予定通りに発売できた感謝の言葉を頂き、その後購入者からは、フロスの糸が「狭い歯間にもスルッと通る」「引っかかりにくい」「ボロボロにならない」などの高い評価を得ることができた。
これは、開発メンバーが発売までに現場で徹底した管理を行った、粘り強い努力の証である。
このプロジェクトは、ヤマトエスロンに大きな財産をもたらした。難題を乗り越え、高品質な製品を納品したことで、得意先からは「何か困ったらヤマトエスロンに相談すれば助けてくれる」という、オーラルケア全般における厚い信頼を勝ち得たのである。また、この経験は社員の成長にもつながった。Tは「最後まで粘り強くやりきる力、社内外関係者との信頼関係、理路整然と説明する力」を、Hは「地道に取り組むことの大切さと、何事も恐れず行動すること」を、このプロジェクトで得られたと語る。
Iが発見した一本の「糸」は、ヤマトエスロンの技術と情熱によって紡がれ、今やデンタルフロス市場を牽引する商品へと成長した。この挑戦の経験こそが、ヤマトエスロンの「他社ができていることはできる、課題は真剣に取り組めばどうにかなる」という、飽くなき挑戦の精神を象徴しているのである。

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